[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第85回―「オープン・サイエンス潮流の推進」Cameron Neylon教授

[スポンサーリンク]

第85回の海外化学者インタビューは、キャメロン・ネイロン教授です。科学技術施設評議会 Rutherford Appleton Laboratoryとサウサンプトン大学化学科でクロスアポイントメント(訳注:2020年時点ではCurtin Universityに在籍)されており、ハイスループットDNAシークエンシング法の分析から、生物物理学と構造生物学のための方法論の開発、実験室の出来事を記録するウェブベースシステムの設計と開発まで、あまりにも多く様々なことに取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

学部生の時には、化学から逃れようと多くの時間を費やしました。大学では生化学を専攻していましたが、化学を3年生まで続けたのは、微生物学がもっと嫌いだったからです。その後、化学科で博士号を取得し、サウサンプトン大学化学科で講師をやった後、STFC ISIS中性子散乱施設に移りました。ですから、自分がやろうとしていることや興味のあることに対する化学の重要性を理解するのにしばらく時間がかかりました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

大学のほとんどの時間は、科学より音楽をやっていましたし、音楽をやるよりもずっと優れたことに専念する時間がないという事実を忘れてしまっています。心から興味を持ったり楽しんだりしていますが、今やるべき核心ではないことについて、もっと多くの時間を割いて学びたく思います。完全に自由な選択ができ、無限の資金があれば、学生に戻るでしょう!

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

得意とする化学を実践し、科学と世界が直面している大きな問題を、化学という言葉で表現する手助けをすることによってです。化学は、私たちが行うほとんどすべての中心であり、気候、環境、エネルギー、健康の観点から私たちがやるべきことの多くを占めています。しかし同時に、コミュニティには多くの自己満足があり、科学技術が発展・変化しようとしている方向へ関わろうとする意思が欠如しています。化学には素晴らしい未来がありますが、その未来のどれだけが化学部門に在るのか心配です。化学者は重要な問題を解決する中心にいると主張しなくてはなりませんし、さもなければ単にサービス部門に転じる危険があります。

Q. あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

難しすぎます!会ってみたいと思う人たちの中には、まだ生きている人たちもたくさんいます。Haldane氏に科学と社会について、あるいは19世紀の科学者なら誰でもいいですが、それについて話すのは面白いと思います。あらゆる科学分野で何が起こっているのかをよく理解していた最後の世代です。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

最後に研究室にいたのはいつなのか、何をしていたのかは、実験ノートをオンラインで見ればはっきりわかります。本稿執筆時点で最も新しいのは、有機溶媒中の化合物の溶解度を測定する簡単な方法がうまくいくかどうかを調べるという、一見単純そうに見える実験です。これはドレクセル大学のJean-Claude Bradley氏と共同で、溶解度データの収集をクラウドソース化しようとするOpen Notebook Scienceチャレンジの一環として行われました。溶解度を決定する方法を開発または改良し、開発されたデータおよび方法をオンラインで公開してデータに自由にアクセス可能にすることで、世界中の学生が貢献できるという考え方です。今でもそこそこ定期的に研究室に入ります。役に立っているかどうかは、研究グループのみんなに聞いてみてください・・・。

Q. もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

もし無人島に追放されたら、気が狂うでしょう。1冊の本と1枚のCDではそれほど役に立たないでしょうから、見つけられる限りで一番長いものを選ぶでしょう。おそらく完全版のOEDでも、9ページを1ページに凝縮したコンパクト版を入手すると思います。

CDはおそらく、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏の『展覧会の絵』や『春の祭典』など、長年持っていたものにするでしょう。もしくはSkyのセカンドアルバムですが、CDでリリースされたことはないと思います・・・。

原文:Reactions – Cameron Neylon

※このインタビューは2008年10月10日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第65回「化学と機械を柔らかく融合する」渡邉 智 助教
  2. 第105回―「低配位有機金属錯体を用いる触媒化学」Andrew …
  3. 第10回 ナノ構造/超分子を操る Jonathan Steed教…
  4. 第47回―「ロタキサン・カテナン・クラウンエーテルの超分子化学」…
  5. 第25回 溶媒の要らない固体中の化学変換 – Len…
  6. 第44回―「N-ヘテロ環状カルベン錯体を用いる均一系触媒開発」S…
  7. 第31回 ナノ材料の階層的組織化で新材料をつくる―Milo Sh…
  8. 第135回―「量子電気力学から光と分子の相互作用を理解する」Da…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 武田薬品、週1回投与の骨粗鬆症治療薬「ベネット錠17.5mg」を発売
  2. ナノチューブを大量生産、産業技術総合研が技術開発
  3. 農薬メーカの事業動向・戦略について調査結果を発表
  4. 極小の「分子ペンチ」開発
  5. 環サイズを選択できるジアミノ化
  6. 触媒表面の化学反応をナノレベルでマッピング
  7. 顕微鏡で有機分子の形が見えた!
  8. 648個の誘導体を合成!ペプチド創薬の新手法を開発
  9. 細胞の分子生物学/Molecular Biology of the Cell
  10. 有機合成化学協会誌2021年1月号:コロナウイルス・脱ニトロ型カップリング・炭素環・ヘテロ環合成法・環状γ-ケトエステル・サキシトキシン

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年4月
月 火 水 木 金 土 日
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

UV吸収のない化合物でも安心。驚くほどシンプルな操作性の高機能分取クロマトグラフを発売

合成した化合物のカラム精製、好きですか?「オープンカラムは時間がかかる」「フラクションのTLCで…

【解ければ化学者】シクロアワオドリンはどれ?

問題です!徳島文理大学の西沢教授らによって報告されたシクロアワオドリンはどれ? …

KISTEC教育講座 ~物質の付着はコントロールできる~中間水を活かした材料・表面・デバイス設計

開講期間令和8年12月1日(火)、2日(水)、3日(木)*12月1日、2日は1日単位の選…

2026年ノーベル化学賞ケムステ予想当選者発表!

2026年のノーベル化学賞は、「不斉有機合成における非線形効果および自己触媒作用の発…

第64回ケムステVシンポ「データとともに進化する未来の化学」を開催します!

第64回ケムステVシンポの会告を致します。産業技術総合研究所主催の化学シンポジウムシリーズ(…

品質工学とマテリアルズ・インフォマティクス ― 両技術の概要と連携事例

開催概要材料開発やものづくりの現場では、探索すべき組成やプロセス条件が増えるほど組み合わせが爆発…

大学院留学してよかったこと, 悪かったこと【英語, 経済面, オーバードクターに関するお話】

海外の大学で、その大学に籍を置く大学 (院) 生として留学することは「学位留学」と呼ばれたりします。…

光前駆体法の活用によって、ヘプタセンで初の一重項分裂を観測!

第725回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 理学研究科化学専攻 有機元素化学研究室(山田研…

【スタッフ・寄稿募集】Chem-Stationで、化学を「伝える側」になりませんか?

Chem-Station(ケムステ)は2000年に開設された国内最大の化学ポータルサイトです。大学・…

第17回大津会議―とある参加者の記録―

2026年9月28日~29日に開催された第17回大津会議についての、とある参加者の記録です。この記事…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP